■ 届けられたことば

「朝からあってた」

この、「から」ということばは、単純に、早くも、という強調的な意味で使われていることが多い。

継続とか、習慣とかという意味を伴うとは限らない。

この地域の方言的使用か分からない。

隣の村人が、ある日の朝たまたま、若い日の吉蔵が話し合っているのを見かけたことがあって、その頃身辺調査に村に入ってきた組織員に思いつく限りの噂話にも聞かせたことではないかと思われる。



短いことばも、そのまま自然に、その村落の日常的情景の一スナップショットとして解すべきである。

思い過ごしたり、裏かんぐりしたりするのは、原資料に対する後世の人の勝手な付け足しである。

この組織活動の一大特徴に、村人の比喩も暗示も何もないそのままの意味のことばを、毒々しく原色の色を塗り加えて発展させ、毎日毎日の作戦内容に繰り返させてきたことである。



朝から不倫していたというような事実を噂していたのなら、もっとその事実を素朴に示すようなことばが書き加えられてるはずであるが、続くことばを聞かせられたことはない。